Adobe Frescoのデモに大失敗して、関係者さんすべてにひたすら謝る1日でした

 所属団体である協同組合日本イラストレーション協会(以下JILLA)の総会が先週末に執り行われました。単に「総会やるよ」って言っても皆さん集まらないからでしょうか、例年総会の後には何か目玉になるセミナーがあり(無料)、飲み食い自由の交流会(無料)が設けられるのが常となっています。

 今回はその目玉として、アドビシステムズ株式会社(以下アドビ社)の方がやってきて製品デモを行うことになりました。中でも大注目なのが、もう間もなくリリースされるであろうと期待される新ソフト『Adobe Fresco』の実機デモ。
 でね、この日はなんかしらんけど、JILLAの役員さんから依頼されて、その実機デモに協力して前で描いてねってことになったんですよね。

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デモ大失敗で失態をさらすつらい1日に…

 製品デモは、1時間半ほどアドビ社の方が説明やデモを行い、Frescoもその中で専任のイラストレーターさんがデモを行い、次いで残り30分を使ってJILLAから2名が実際に描いて試してみるという流れでした。

 まずトップバッターは、JILLAでクロッキーのやり方を会員向けに教えている進藤晴義先生。鉛筆や水彩を使っての本格的なスケッチワークを披露してみせます。さすがです。次が僕。本格的な絵なんて描けないし、そこは進藤先生が見せてるわけだから、そうじゃない世界、たとえばAdobe Illustratorで普段かっちりしたタッチのイラストカットや漫画絵を描いてる人も、Frescoならその線画のかっちりさは保ちつつ(なんせベクタブラシがある)、着色部分にだけアナログの柔らかさを使えて良いですよ表現できる幅が広がりました的に見せられるといいかなーと思ってさあ壇上です。

 めっちゃ手がぷるぷる震えて線が落ち着きません。

 やばい手を押しつけて震えを消そうと思っても立った状態で描いてるからうまくおさまらない。

 黙って描くことに集中すれば少しはブレをましにできるんですけど、その無言の時間がいたたまれなくなるから、ずっと黙っておく度胸もない。

 やばい逃げたい。

 結果、デモは大失敗でした。せっかくの宣伝の機会をつぶしちゃってアドビ社の広報さんには申し訳ない限りだし、自分を推薦したJILLAの役員さんたちにも申し訳ないし、良いものが見れると思って着座してたら延々しょうもない落書きを見せられた参加者の皆さんにも申し訳ないし、本当に全方位に申し訳なさしかない永遠とも感じる10分少々でした…。

 その後の交流会はもう、ひたすら木に擬態する感じですよね。僕はここに居りますが飲んで食って帰るだけの人でありますって感じで、隅っこの方でおとなしくしてましたごめんなさい。

Adobe Frescoはすごいソフトで、発売が超楽しみです

 で、肝心のAdobe Frescoなんですけど、めっちゃ楽しいソフトでした。本当に楽しい。

 ベクタブラシで線画を描く、レイヤーを分けて水彩で着色、肌色部分に青や黄色や赤を落としてにじませる。その基本動作のレスポンスがめちゃくちゃいいんです。水彩なんてじんわり滲んですごくいい感じに混色していってるそのまっ只中に、どれだけ追加で色をのせてもどんどん自然に混ざって違和感がなく、しかも筆圧でインクの流量を直感的に操作できるもんだから、少しさわってると自然と滲みの感じも右手の感覚ひとつでコントロールできるようになっていくんですよ。これが一切ラグなしで動作しちゃうのがすごい。

 だから描き始めるとどんどん手の感覚がマッチしていって、ひたすら楽しいのです。ずっと描いていたくなります。

 この日は交流会の室内脇に体験コーナーが設けられていたんですけど、あまり皆さん寄ってこないくせして、いざ使い始めてみたら途端に楽しくなって延々描き続けちゃうという光景が続出で、それがすごく印象的でした。

個人的にAdobe Frescoのここいいなと思ったところ
  • とにかくすべての操作に対するレスポンスがいい
  • タッチジェスチャーがiPadの流儀にのっとっていて使いやすい
  • 手がふれて誤作動を起こすことがまずない
  • イラストレーターに逆輸入してとお願いしちゃったくらいベクタブラシの描き味が良い
  • 上記のベクタ線に水彩画表現が組み合せられるのが嬉しい
  • 滲みに不自然さ(コンピューター臭さ)を感じないので混色が楽しい
  • でもコンピューターだから、水彩に白が使えて楽しい
  • 最終出力はPSDで可能(PDFもひょっとしたらあるかもしれない)なのが助かる
  • 古いiPad Pro(初代とか)でも十分な動作速度なのが嬉しい
  • このソフト単体で終わらず、iPad用のPhotoshopとか、他のソフトとの連携も今度見据えてるっぽくて頼もしい

 おそらくリリース時点では細かい部分で「こういう機能があればいいのに」というのは出てくると思うんですけど、描くというコアな部分の基本性能が素晴らしいので、「そのへんは後々充実させていきます」で全部些細な話になっちゃうんですよね。

 Adobe Creative Cloudのコンプリートプランに加入している人は、追加料金なしでこのソフトを使えるようになるというのは確定のようなので、正式リリースされる日が楽しみです。

 

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