ちょっと自慢したくなる贅沢な飲み会

 日頃お世話になっている版元さんの人事に異動があって、既知の間柄の偉い人がさらに随分と偉い立場になられまして。それで、今後の懇親もかねて一席どうですかとお誘いいただき、焼き肉を食べに行ってきました。
 メンツは、いつもお世話になってる編集さんと、営業の偉い人、そして制作のすごく偉い人、それに僕の計4人。

 この版元は付き合いが長いということもあるんですが、不思議なことに今では編集部の方よりも営業部の方が面識のある人が多くなっています。そのせいか、飲みに行く相手という意味では営業さんの方が圧倒的に多数。編集さん1人に僕と営業さん複数人って感じで飲みに行くことも決して珍しくありません。

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執筆の後を知ることで見えてくる色んなもの

 普通本を書く仕事だと、書き上げて見本誌が届くところまでが自分の仕事の領分で、その後の売るフェーズに入ってからはあまり伺い知ることができません。もちろん編集さんは細かい売れ行き動向とか、POSの数字なんかを教えてくれたりするわけですが、それって結果なんですよね。
 本を送り出して、その先で、結果に至るまでの話…たとえば営業さんがどうやって僕の本のために棚を確保してくれているのか、書店員さんがどうやって僕の本を売ってくれているのか、どんな風に皆さん認知してくれているのか、どういう読者さんがどんな風に買いに来てくれているのか…なんて話はわからないわけです。

 営業さんとの付き合いが濃くなるにしたがって、そういった色々が目に入るようになりました。今では自分の本をどんな人が店頭で売ってくれているのか、書店員さんの顔もたくさん頭に浮かびます。

 しかも、「書き上げて見本誌が届くところまでが自分の仕事の領分」と書きましたけど、実はそれだって正確じゃなくて、原稿を納めてデザインあがってきて校正チェックして印刷に回す…本が出来上がってくるという過程には、「どんな紙にするか」をはじめとしてその本の魅力を存分に発揮できる仕様を考える制作の仕事がはさまってます。

 …というメンツでの飲み会だったので、視野の広がり方が半端ないんですよね。

 だから、ちょっと自慢したくなるわけです。
 いいでしょーって。すっごく贅沢な機会ですよねーって。
 あまりにお互い遠慮がなくなってきているので、目の前で口論が始まることも一度や二度ではないですけど、それも含めてまあ楽しい。

 本を書く仕事は、自分の価値観とその正しさに自信を持ったり失ったりしながら揺れて揺れてゴールに辿り着く仕事だったりします。それだけに、こうして検証できる時間が持てることで、すごく助けられてるなと思うのでした。

コメント

  1. 匿名 より:

    あー、いいですね。
    そういう飲み会というか、別工程担当者とのコミュニケーションは非常に面白いんですよね。

    本もそうだと思うんですが、やっぱり業務として何かを作って売ってとすると、色々な人間の『業務』が絡んで1つの製品が出来るわけで、自分の苦労は誰かのためにだったり、逆に自分のこだわりが誰かに支えられていたりする。
    その「誰か」の顔と仕事がちゃんと分かってると、それだけでモチベーションって変わってきますよね。

    • きたみりゅうじ きたみりゅうじ より:

      そうなんですよね。
      自分だけだと思い至らない箇所が、色んな人のこだわりによって支えられてるって、本当に力をもらえますよね~。

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