3Dプリンタ遊びの時は、こんな感じでデータを作ってます

 このサイトで3Dプリンタを取り上げはじめてから、「何に使えるのかと思っていたけど、意外と身近なところで活用できるとわかり、導入に対する心理的ハードルがぐっと下がった」という声をちょこちょこといただいてます。
 自分も購入前は同じように思っていたのでよく理解できます。なんかすごいものに思えて、すごいからこそ難しそう=そこまでして作りたいものは特にない……みたいな感じになるんですよね。

 で、実際はもっと気楽に活用できて楽しいよーというのはわかってきたものの、そのためのデータがどこまで気楽に作れるものかわからない。そこもちょっと紹介してくれないか。
 そんな声をいただいたもので、ちょうど簡単に作れるサンプルが直近で出来上がったことでもあるし、それを例にして3Dデータを作る過程を紹介したいと思います。

 今回例として取り上げるのはこれ。バイクのサイドバッグの底にはめ込んだ箱です。

 なんでこれを作ったのか、どう使うものなのか、どんな風に便利なのかは下記の記事を参照いただくとしましてですね。

 基本的なパーツは、両サイドのカップと、真ん中にはめる底、あとはそれらをつなぐ接合パーツの3種類。

 モデリングにはFusion360というソフトウェアを使います。この手の定番ソフトのようです。
 ちなみに勉強は下記の本でチュートリアルをいくつかこなすことで行いました。

 後半の難しい章はまだやっていませんが、基本をしっかり教えてくれる本なので、前半1/3も読めば、このサイトで遊んでいる程度のことはできるようになっちゃいます。

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基本は「スケッチをして、その図形を押し出して立体化する」こと

 3Dのデータを作る基本は、基本となる形状をスケッチ機能で描き、それを押し出すことで立体化するという流れになります。

 まずはサイドにはめ込むカップを作ってみましょう。底面の大きさである60mm x 140mmの四角を描き、それを押し出し機能で上に60mm引き上げて立体化させます。

 本当はスケッチを介さずいきなり立方体を描く機能もあるんですけど、それだと後から寸法を変更しづらいんですよね。なので、一手増えることにはなりますが、急がばまわれでこんな手順を踏んでいます。

シェル機能を使うと、特定の壁を残して中身をくりぬくことができる

 続いては立方体の中身をくり抜いてカップ状に仕上げる下準備を行います。
 くり抜きに使うのはシェル機能。選択した面を削り取り、指定した厚みの壁を残してくれます。

 もうほとんど出来上がりみたいなもんです。ただ角が尖っているとバッグの内装を突き破りそうなので、まあまあいい感じに角を丸めて仕上げましょう。

フィレット機能で角を丸めて出来上がり

 角を丸めるにはフィレット機能を使います。
 丸めたい角を指定して、その径を指定すれば、その通りに仕上げてくれます。厚み2mmのカップなので、ここでは内側の角を10mm、外側の角を12mmに丸めてやりましょう。

 これで両サイドにはめ込むためのカップが出来上がりました。実に簡単でしょ?

同じ手順を繰り返して中央の底も作る

 続いては真ん中にはめる底を作りましょう。手順はまったく同じなので、ここは一気に済ませちゃいます。

 というわけで、3種類のパーツのうち2種類が完成しました。

 あとはこいつらをつなげる接合パーツです。

接合パーツも基本的には同じ手順で、押し出して、壁を削る

 接合パーツも基本的な流れは同じ。ただ、それぞれの部品を1.5mmの壁で挟み込むようにしたいので、まずは底の位置を1.5mm他のものより下にずらします。それから押し上げて中をくり抜いて~とする。

 これで基本的な形状はできました。ここからは各パーツを差し込むための溝を掘っていきます。

接合パーツに各部をはめ込む溝を掘ろう

 溝を掘るには、対象となる面を選択して、その面に溝の形状をスケッチし、そのスケッチ領域を普段と逆方向に押し出す(めり込ませる方向にマイナスの押し出しを行う)ようにします。こうすると、指定した形状を指定した深さで切り取ることができます。

 というわけで、まずは上の青くなっている面を選択してスケッチ機能を実行。以下、次のように形状を変化させていきます。

 ここでは、壁厚2mmの各パーツを接合するために、幅2.5mm 深さ3mmの溝を掘りました。接合パーツ自体の壁厚は1.5mmとしています。

最後にフィレットで角を丸めたら出来上がり

 さて、では最後に、他のパーツと同様に角を丸めて、綺麗に差し込めるよう整えましょう。

 溝を挟む内側の壁と外側の壁があるので、それぞれの寸法をちゃんと計算しないと平行なカーブになりません。そうするとパーツがスムーズに差し込めなくなるので、ここはきちんと計算を行ってからフィレット機能を使います。

 まず、2mmのパーツを2.5mmの溝に差し込むわけですから、内側の壁は10mm径のパーツより0.25mm内側でカーブしてないといけません。つまり内側の壁の外径は9.75mm、そこから1.5mm厚の壁があって内側の角に至るので、ここの内径は8.25mmとなります。
 その逆に、外側の壁は12mm径のパーツより0.25mm外側にあるので、内径が12.25mmで、外側が+1.5mmの13.75mmとなります。

 というわけで、内側の角から順に、8.25mm、9.75mm、12.25mm、13.75mmという数値で角を丸めていきます。

 一応計算上はこれで合っているはずですが、出力してみてカーブがあわなかったとなると悲しいですから、ちょっと図面上で確認しておきましょう。

 すぐ隣にあるパーツの接合パーツにはめ込まれるはずの面を選択して、押し出し機能を実行します。そのまま、マウスで適当に引き延ばして接合パーツを貫通するところまで伸ばしてみましょう。

 貫通させた状態で正面から見ると、クリアランスがどの程度とれているのか目視で確認することができます。

 カーブしている部分も、偏りなく綺麗に隙間が確保できています。問題ないので押し出しをキャンセル。これで完成です。

図形を描く難易度は低いんだけど、数値の積み重ねがちょっとめんどくさい

 以上で冒頭にあげたパーツの作図は完了。あとはひたすら3Dプリンタの出力を待つことになります。

 今回用いた作例の場合は、ここで作ったパーツを出力した後に、最終的にあまる空きスペースを測ってから、そこにあう底をもう一個追加で作って出力することになるのですが、そのパーツの作図自体は、もう何なりと想像がつくと思うのでここではふれません。

 というわけで、こういう実用的な部品を作って遊ぶ用途だと、ほんと基本的な機能の組み合わせだけでたいてい済んじゃうんですよね。寸法を測ることと、その寸法に必要なマージンの算出と、その積み重ねで各部のサイズを決定するところがちょこっとめんどくさいかなっていうくらい。

 ただ、そのめんどくささも、一度びしっと測ってしまえば、0.1~.2mm単位の精度でびしっと欲しい寸法のパーツが出力されてくる感動を経験したら、多分「必要な製作過程のひとつ」として自然と楽しい作業に化けるんじゃないかと思います。そのへんが、木材を手のこで切った貼ったする従来のDIYとはちがう点と言えるかもしれません。誤差の絶対値がとにかく小さい。

 そんなわけで、3Dデータをモデリングする手順、どうだったでしょうか。少しでも参考になってくれたら幸いです。

コメント

  1. もう より:

    良いです、最高です。
    これは、保存版です。笑

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