キジの住む町

 いつも通っているスポーツクラブへの道を、いつもと同じように抜けようとしたら、道端に見覚えのある生き物が佇んでました。

 キジです。

 千葉に引っ越してきたのはもう10年以上前の話で、その時は普通に家の前をキジが散歩していたりして、「桃太郎ごっこできちゃうぞ!!」と激しく興奮したものでした。こいつらの鳴き声が「クケー!」っていう金切り声なのもその時に知って、「雉も鳴かずば撃たれまい」という言葉の意味も強く理解したものです。
 こいつらって、わざわざ金切り声をあげてから一直線に飛ぶんだもん、そりゃ撃たれるわ。

 毎年町には住宅が増えて、その分丘や草むらが削られていって、「多分あそこに住んでるんだろうな」という緑がなくなって以来、ここ数年は見なくなって久しい鳥になっていました。確かにこの日の通り道には、まだ脇道に入れば緑が残っていて、ヘビやら亀やらホタルやらの住処があります。そっか、そのへんに住処移してたんだ、と懐かしいその姿にほっとしたりして。

 キジって可愛いんですよ。

 自分もこっちに引っ越してくるまで知りもしなかったんですけど、こいつらはほんと穏やかで、そしてどことなく抜けていて、それがすごく可愛い。

 以前、自宅そばのショッピングセンターまで散歩しようと家を出て、その途中でキジに遭遇したことがありました。
 一応キジとしては一目散に逃げるわけです。でもその逃げる先がそのまま自分の進む先なんです。しかも何故か飛ばないから妙に遅い。絵面的にはキジに先導されて散歩する僕みたいな感じでショッピングセンターに着きました。

 でもキジは止まらない。そのまま一直線に走り続けていく。

 そのショッピングセンターを抜けた先には川があり、川べりは緑で覆われています。なるほど、そこに逃げたかったのかとしばらく行く先を眺めていたら、舗装路が終わって川べりよりも随分手前の雑草地帯に入った途端、小さな草むらに頭を突っ込んでぴたりと止まってしまいました。

 何をしてるんだろう。遠くから見る分にはエサをついばむ様子でもありません。ただ、何かこう、これと同じ景色をどこかで見た気がする。

 …ウチの2歳児(当時)と同じ…?
 いや、頭は隠してるからそれよりは上か。

 まさかと思って近づいてみてもやっぱり動く気配なし。本人(鳥)の中では、「俺は完全に隠れている」という図式が成り立っている様子です。

 ほんと、いつまでもこの町にキジが住んでいてくれることを願ってやみません。

  1. 匿名 より:

    かわいい。雉は食べても美味いのがいい(オイ
    かわいいイラストGJです。

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