ふるさと納税の計算方法をおさらいして、自動計算用のエクセルファイルを作ってみた

 12月に入り、年末も見えてきたことで、そろそろまじめに取り組まないといけないのがふるさと納税です。これをやっておくのと否とでは、来年4回に分けてやってくる住民税の金額がしゃれにならないほどちがってくるので、精神の安寧を堅持する意味でもやらない選択肢はありません。

 とはいえ、毎年毎年、「どんな計算で求めるんだっけ?」というところからやり直しているせいで、ちゃんと正しそうな納税額を求めるだけでもひと苦労。ふるさと納税用のポータルサイトが設けてくれている計算シミュレーションは給与所得者用に作られていることが大半なので、個人事業主には使えなかったりするのです。
 いや、一応は用意されてるんですけど、複数のサイトで算出して比較してみても数字がバラバラだったりして、今ひとつどこまで信用していいのか不安になるんですよね。

 で、毎年計算方法を自分で確認して、算出して納めて、また忘れて年末を迎える……の繰り返し。

 1回ちゃんと整理して自分がすぐ思い出せるように書き留めとけばいいんだよな。
 そんなわけで、さっそくお勉強してその内容を書き留めておくことにしました。

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ふるさと納税の計算に用いる数値はなにか?

 ふるさと納税とは何かというと、どこかしらの自治体にこの制度を用いて寄付した金額が、確定申告時に寄付金控除として使えますよというものです。「自己負担2千円でこんなにもらえますよ、控除できますよ」という言葉だけが一人歩きしてますけど、実際は所得税と住民税、あと住民税の特例分という3つに分かれて、それぞれ控除されるようになっています。

 3つの計算式はそれぞれちがっていて、ざっくり記すと次の通り。ちなみにここは小難しければ、次の見出しまで読み飛ばしても大丈夫です(住民税については、特にことわりがない限り標準税率の10%を適用しています)。

所得税からの控除分

所得税から控除されるのは次の金額です。

(ふるさと納税額 - 2,000円) × 所得税率
※上限は総所得金額の40%

住民税からの控除分

住民税から控除されるのは次の金額です。

(ふるさと納税額 - 2,000円) × 10%
※上限は総所得金額の30%

住民税の特例分からの控除分

住民税の特例分から控除されるのは次の金額です。

(ふるさと納税額 - 2,000円) × (100% - 10% - 所得税率)
※上限は住民税所得割額の20%

負担額2千円で済む上限枠とはどこで決まる?

 ふるさと納税を考えるにあたり大事になってくるのが「自己負担額が最小の2千円で済む金額はいくらですか?」ということです。
 そこで前段の3つの控除を計算してみるとわかるんですけど、控除の上限金額が一番低いのって「住民税の特例分」になるんですよ。

 それでいて、控除の計算式から求められる控除額が一番大きな額になるのも「住民税の特例分」なのです。

 だから、この「住民税の特例分」として控除できる上限額を求めて、そこに控除額が限りなく近づくふるさと納税額を上の式にはめ込んで行けば、他2つの控除額がいくらであろうが関係なく、「最小の自己負担額2千円で済むふるさと納税額」が決まるわけですね。

つまり住民税の所得割額を求めれば自ずと上限金額が決まってくる

 というわけで、じゃあ住民税の特例分の上限(住民税所得割額の20%)金額を求めましょうとなると、必要になるのが「住民税の所得割額」です。

住民税の所得割額

住民税の所得割額は、次の式により求めることができます。

市民税所得割 = 所得税課税総所得金額 × 8%
県民税所得割 = 所得税課税総所得金額 × 2%

住民税所得割 = 市民税所得割 + 県民税所得割

まあ要するに課税所得金額の10%ってことですね。

※厳密には扶養控除とかの人的控除の金額が所得税と住民税では異なるので、上だと少し実際の住民税額よりも少ない額になります。ふるさと納税の上限額を求める分には、「実際よりも少なめ(数百円とか数千円レベル)の枠が算出される」方向になるので、誤差扱いで省略してます。

 したがって、この住民税所得割額の20%を越えないギリギリの金額になるよう住民税の特例分を求めると、自己負担額が最小で済むふるさと納税額が求められますよというわけです。
 じゃあそれをどうやって求めるんだというと、昔懐かしの方程式がここで出てくると……。

(ふるさと納税額 - 2000) × (100% - 10% - 所得税率) = 住民税所得割 × 20%

 この式を「ふるさと納税額X = …」の形に直しますと次の式になります。

ふるさと納税額X = (住民税所得割 × 0.2) ÷ (0.9 - 所得税率) + 2,000

 あとは申告のために収入金額やら経費やらを整理したら、上の式にそれをはめこんでやればいいのです。

せっかくなのでエクセルシートにまとめてみた

 …と、ここまでだらだら書き記したのは、「なんかよくわからんけどそういう数字になるらしい」とブラックボックス化してた部分を解き明かしたかったからで、これを毎年末に読み返して1から計算しましょうねとはまさか僕も思っていません。

 理屈がわかってしまえば計算はコンピュータに任せれば良い話。なので、上の考え方をそのままエクセルのシートに落とし込んで、収入・経費・控除額を入れたらふるさと納税額をバババっと算出してくれるようにしてみました。
(注)自分用に作ったものなので、住宅ローン減税には対応していません。

ふるさと納税試算用シート

ふるさと納税試算用シート(furusatocalc-haifu-r01v1r2.xlsx)

※再配布はご遠慮ください。
※あくまでも参考にとどめてください。この計算シートを利用した結果について何らかの損害やトラブルが発生しても責任は負いかねます。

 控除なんて、毎年そんな変わらないですもんね。今年入力したら来年以降はそのシートをコピーしていくだけなので、これで来年からは迷わなくて済むぞ。

匿名税理士X
匿名税理士X

ふむふむ、サイトごとに目安額が異なる理由ですが、出した理論値で再計算をしているかどうかだと思います。
目安10万ですよ、となったら98,000円控除を取った金額で住民税所得割が変わるはずなんですよ。98,000円控除があれば、所得割が9,800円減って、20%分が1,960円減るから。
強めに出てるサイトは、今のキタミさんと同じ計算です。低めに出ているサイトは、理論値で寄付金控除を取った後でもう一度所得再計算して問題ないか再計算しています。後者のほうが正しい数字になってます。


……ということを踏まえた上で、おおよその目安をはかるには良いエクセルですね。ただ、ふるさと納税はモノがもらえるからするものではないので、あくまで『その地域を応援するなかで税制を適用する』気持ちは忘れないようにしましょうね。

 ……はーい。にしてもなるほど、そんな永久ループの罠が。
 そんなわけなので、あくまでも上のエクセルシートは「目安を求める選択肢のひとつ」としてご利用いただけると幸いです。あ、エクセルシートについての詳しい使い方はまた別途記事にしますね。

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コメント

  1. きたみりゅうじきたみりゅうじ より:

    すみません、ダウンロードするエクセルファイルですが、細かい文言修正と行・列の書式設定を保護判定から外す必要があって、それらの修正を加えました。
    furusatocalc-haifu-r01v1r2.xlsxが最新になりますので、そちらをダウンロードしてご利用ください。

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