東野圭吾氏の『手紙』を読んで、人の「罪」というものに思いを馳せる

 最後にじんわり切なさと感動の波が来るに違いない……と思いながら読み進めていったんですが、投げかけられた重たいものが、ずーんと腹の中にあるままで終わってしまいました。じんわり感動したかったんだけど、「それはきれい事だよね」と突きつけられてしまうから感動できない。

手紙 (文春文庫 ひ 13-6)
文藝春秋
手紙 (文春文庫) [文庫] [Oct 01, 2006] 東野 圭吾

 物語として読めば主人公には許されて欲しいんだけど、現実として捉えれば許されざる想いが理解できてしまう。その矛盾は罪なのか。理想は空虚なものなのか。

 そういったことが繰り返し投げかけられて、うーんとただ唸るしかない。そんな本でした。

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