昨日も書いたように、デスクトップ版の『やよいの青色申告』に別れを告げて、マネーフォワードで帳簿をつけるように切り替えました。やよいやfreee、そしてマネーフォワードと、それぞれ「どのように帳簿処理をさせるか」の思想がちがっていて、さわりくらべるのが楽しかったです。
さて、そうして各々の思想のちがいにふれる中で、意外だったのが「源泉徴収税」の扱いです。
仕事を発注した場合に、支払者側が報酬から天引きして税金の前払いをするあれですね。
源泉徴収税を計上するのは、売上計上時か、入金された時か
なにが違ったかというと、その計上タイミングがちがっていました。
むかーしむかし、フリーになった直後あたりに読んだ本では、源泉徴収税というのは「入金時に振替伝票で事業主貸として処理する」と書いてありました。仕訳にするとこんな感じ。
[売上計上時]
借方 | 補助科目 | 金額 | 貸方 | 補助科目 | 金額 | 摘要 |
---|---|---|---|---|---|---|
売掛金 | ナントカ出版 | 110,000 | 売上高 | 印税 | 110,000 | ○○本の印税 |
[入金時]
借方 | 補助科目 | 金額 | 貸方 | 補助科目 | 金額 | 摘要 |
---|---|---|---|---|---|---|
普通預金 | ○○銀行 | 99,790 | 売掛金 | ナントカ出版 | 110,000 | ○○本の印税 |
事業主貸 | 源泉徴収税 | 10,210 |
一方、マネーフォワードの処理のやり方に従うと、どうも源泉徴収税は売上計上時に入力してしまうのがおすすめのようです。
[売上計上時]
借方 | 補助科目 | 金額 | 貸方 | 補助科目 | 金額 | 摘要 |
---|---|---|---|---|---|---|
売掛金 | ナントカ出版 | 99,790 | 売上高 | 印税 | 110,000 | ○○本の印税 |
事業主貸 | 源泉徴収税 | 10,210 |
[入金時]
借方 | 補助科目 | 金額 | 貸方 | 補助科目 | 金額 | 摘要 |
---|---|---|---|---|---|---|
普通預金 | ○○銀行 | 99,790 | 売掛金 | ナントカ出版 | 99,790 | ○○本の印税 |
確かにこちらのやり方だと、年内に発生した売上に対する源泉徴収税額がかんたんに集計して出せるようになるし、銀行口座への振込が複数案件まとめて行われたとしても、数字のつき合わせに迷うことがありません。売掛金と売上高の数字って、イコールにならないと駄目なのかと思ってたよ……。
どちらのやり方も特に間違ってはいないみたいなので、メリットの大きい方をとればいいのかなと思いますが、とりあえず自分は後者の方にやり方を変えてみることにしました。
実は源泉徴収される金額が会社によって異なってたりする
変えることにした……のはいいんですけど、そうすると問題になるのが「売上計上時に源泉徴収される金額もわかってないといけない」ことです。
なんでそれが問題かというと、源泉徴収される時の税額計算って、会社によって扱いがちがうみたいで数字が同じじゃないんですよね。冒頭のイラストにあげた通りのことが起きてくるんです。
「最初に源泉徴収税を計上しとけば、入金時の数字のつき合わせが楽」というのは、あくまでも源泉徴収される税額がちゃんと把握できていればの話。そこの数字がずれていると、後の処理は当然すべて数字があわなくなってしまいます。それは逆にめんどくさい。
後でいちいち数字を直すなんてたまったもんじゃないので、ここはきちんと計算方法を理解して、あやふやなところを消しておくことにしました。
源泉徴収税は次のルールで算出される
源泉徴収税の一番基本的な計算は、「報酬から10%引いて代わりに納めとくね」というものです。1万円なら1千円が源泉徴収税。昔はそうでした。ちなみに1円未満の端数は切り捨てと決まっているようです。
今はこれに「東日本大震災からの復興のための財源がいるのよ」ってことで、税額の2.1%が上乗せされることになっています。そんなわけで現在は報酬の10.21%が源泉徴収税額となっています。
ただ、所得税率って収入が増えると上がりますよね。
源泉徴収税にもその考えは適用されていて、報酬の支払い額が100万円を超える場合、100万円を超える部分からは倍額となる20.42%が源泉徴収税として差し引かれます。
[100万円を超える報酬の場合]
さて、引かれる税率の話はこれでいいとして、その対象をどの範囲にするかでまた違う。消費税込みの内税扱いの場合、源泉徴収税額は消費税を含む報酬の総額を対象に計算されます。一方、税抜きの外税扱いの場合、源泉徴収税額は消費税額を除いた報酬金額を対象に計算が行われます。
「会社によって引かれる金額が変わるのめんどくせー!」となる根本の理由はここですね。消費税の扱いが違うんだ。なるほどなあ。
ということは、会社ごとに税込み計算か税抜き計算かさえ確認できれば、あとは一律に計算できるというわけです。
ルールがはっきり整理できてしまえば、それを自身で覚えておく必要はありません。そこはコンピュータの得意技なので、年間の資金繰りを管理しているExcelシートにでもVBAで関数を作ってバトンタッチしたいと思います。
その記事はこちら。