
うちのメイン環境であるデスクトップパソコンは、Bluetoothの電波強度を安定させたいこともあって、マザーボードのZ390チップセットが持つ無線LANとBluetooth機能が使えるやつで構成しています。
そもそも仕事場の機械配置が次のようになっていたもので、基本的に有線LANが有用な環境ではなかったんですね。

それでWiFiのアンテナを生やしたマシンを組んだんですけど、同時に余りパーツでLinuxサーバを作ってみたら、これが意外と重宝して手放せない存在になりました。じゃあ、これとデスクトップパソコン間が有線LAN接続になるだけでも恩恵があるのかなとなって、結局無線LAN機能は使わずじまい。

ただ、実際どの程度速度差があるかは確認してないんですよね。
今回、サーバのディスクトラブルがあったことで環境をあれこれといじっていたら、それがふと気になりました。
それで、今後仕事場のレイアウトを変更したくなることがあるかもしれないし、一度ちゃんと性能評価して、「だから有線LANにしてる(もしくは無線LANで十分)」と判定できるようにしとこうと思い立ったのであります。
Ubuntuサーバにiperf3をインストールする
速度計測には、iperf(今の最新はiperf3)という評価ツールを用います。測定したい回線の送り側と受け側の計2台にそれぞれインストールして、リクエスト待ち状態にしたサーバ側に対して、クライアント側から通信を行うことで、その間の回線速度を測ります。
そんなわけでまずはサーバから。下記のコマンドを叩いてUbuntuにiperf3をインストールします。
$ sudo apt install iperf3
そしたら、「サーバとして動作させる」を意味する -s オプションをつけてiperf3を実行させます。
$ iperf3 -s
-----------------------------------------------------------
Server listening on 5201
-----------------------------------------------------------
これで、サーバ側では、iperf3がリクエスト待ち状態になりました。
Windows版のiperf3をインストールして、有線LANの速度を計測してみる
続いてはクライアント側です。下記のサイトからWindows版のiperf3がダウンロードできるので、zipファイルを解凍して任意のフォルダに置きましょう。
エクスプローラでiperf3の入っているフォルダ選び、Shiftキーを押したままで右クリックすると、ショートカットメニューに「PowerShellウインドウをここで開く」という選択肢が出てきます。
これでコマンドラインツールが立ち上がるので、「iperf3 -c 接続先サーバのIPアドレス」とコマンドを叩きます。-cというのは、クライアントモードで稼働させることを意味するオプションです。
> .\iperf3 -c 192.168.0.100
するとサーバとの通信がはじまって、次のようにその間の通信速度が表示されます。
Connecting to host 192.168.0.100, port 5201
[ 4] local 192.168.0.9 port 55461 connected to 192.168.0.100 port 5201
[ ID] Interval Transfer Bandwidth
[ 4] 0.00-1.00 sec 111 MBytes 930 Mbits/sec
[ 4] 1.00-2.00 sec 112 MBytes 941 Mbits/sec
[ 4] 2.00-3.00 sec 109 MBytes 914 Mbits/sec
[ 4] 3.00-4.00 sec 112 MBytes 942 Mbits/sec
[ 4] 4.00-5.00 sec 109 MBytes 911 Mbits/sec
[ 4] 5.00-6.00 sec 112 MBytes 939 Mbits/sec
[ 4] 6.00-7.00 sec 112 MBytes 940 Mbits/sec
[ 4] 7.00-8.00 sec 108 MBytes 910 Mbits/sec
[ 4] 8.00-9.00 sec 111 MBytes 934 Mbits/sec
[ 4] 9.00-10.00 sec 112 MBytes 941 Mbits/sec
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
[ ID] Interval Transfer Bandwidth
[ 4] 0.00-10.00 sec 1.08 GBytes 930 Mbits/sec sender
[ 4] 0.00-10.00 sec 1.08 GBytes 930 Mbits/sec receiver
iperf Done.
平均930Mbpsの速度が出ているようです。
1000BASE-Tの有線ハブを介した通信は、ほぼほぼその数字通りのパフォーマンスが出ているみたいですね。
有線LAN接続から、無線LAN接続に切り替える
それでは続いて、これを無線LAN接続に切り替えた場合は、どの程度の速度になるのかを確認してみることにします。そないに大差ないようなら無線にして配線減らすのもありですもんね。
というわけでネットワーク接続の一覧を表示して、次の画面のように「有線LAN接続→無効」「無線LAN接続→有効」に切り替えます。

INTEL Z390チップセット内蔵の無線LAN規格はIEEE 802.11ac。リンク速度等、WiFiネットワークの状態は次のようになっています。

実効速度ってどれくらいなんだろう。半分くらい出てくれればいい感じなのかなあ……と思いつつ。
無線LANの速度を計測してみる
ではこの状態でネットワークの速度を計測してみましょう。先ほどと同じく、次のコマンドを叩きます。
> .\iperf3 -c 192.168.0.100
結果はというと……
Connecting to host 192.168.0.100, port 5201
[ 4] local 192.168.0.4 port 55573 connected to 192.168.0.100 port 5201
[ ID] Interval Transfer Bandwidth
[ 4] 0.00-1.00 sec 18.0 MBytes 151 Mbits/sec
[ 4] 1.00-2.00 sec 18.9 MBytes 159 Mbits/sec
[ 4] 2.00-3.00 sec 19.4 MBytes 162 Mbits/sec
[ 4] 3.00-4.00 sec 18.9 MBytes 158 Mbits/sec
[ 4] 4.00-5.00 sec 18.4 MBytes 154 Mbits/sec
[ 4] 5.00-6.00 sec 19.2 MBytes 161 Mbits/sec
[ 4] 6.00-7.00 sec 19.0 MBytes 159 Mbits/sec
[ 4] 7.00-8.00 sec 19.1 MBytes 161 Mbits/sec
[ 4] 8.00-9.00 sec 18.9 MBytes 158 Mbits/sec
[ 4] 9.00-10.00 sec 19.0 MBytes 159 Mbits/sec
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
[ ID] Interval Transfer Bandwidth
[ 4] 0.00-10.00 sec 189 MBytes 158 Mbits/sec sender
[ 4] 0.00-10.00 sec 189 MBytes 158 Mbits/sec receiver
iperf Done.
平均158Mbps。リンク速度の半分もいきません。気になって何度か計測し直してみましたけど、やっぱりこのへんの数値になってしまうようです。
本体を奥まったとこに押し込んでるから、そのせいもあるのかな。チャンネルの混信状態を調べたりとか、アンテナ位置の調整とかで改善できる範囲も大きそうですが、安定してつながる環境がある以上、そこまで調べてあれこれする必要も感じません。
そんなわけで、そういった安定度も含めて、これだけ差がある状態なら有線LAN接続のままとすることでまったく迷いはなくなりました。すっきりです。
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