前編でフィラメントを送り出す側はほぼ完成しました。
続いては、フィラメントを受ける側の加工に入りましょう。
フィラメント押出機部分までテフロンチューブで直結してやる
湿気を防ぐために外気になるべくふれないように……と考えると、3Dプリンタ内部にあるフィラメントの押出機までテフロンチューブでつないでしまうのが一番です。フィラメントがその中を通るようにすれば、ノズルで溶かされるまで外気にふれることはありません。
というわけで、Thingiverseからフィラメント押出機にワンタッチ継手をつけるためのアタッチメントをダウンロードしてきて、3Dプリンタで出力します。
出力したパーツにワンタッチ継手をつけるとこんな部品ができあがります。
そしたら押出機の矢印シール右上あたりのネジを1回外して……
さっきのパーツを挟んでネジを戻せば、こんな感じにできあがります。
そしたら防湿ケースから伸びているテフロンチューブをこの継手に差し込んでロックする。完成です。
おお、いい感じ。
500gスプールを使う場合は、このチューブを外すだけで普通に元のようにセットして使うことができます。
「1kgフィラメントを利用するための、フィラメント供給機能付き外付け防湿ケース」としてはこれで完成です。機能的にも申し分ありません。
ただ、ただちょっと気になる点が残るので、ここからは改良作業に入るとしましょう。
蓋ができないのはなんか気に入らない
防湿ケースとフィラメントの通り道が完成したので、防湿ケース内に乾燥剤とセットでフィラメントをセットすれば乾燥対策はバッチリ。湿気を恐れることなく1kgフィラメントをセットしたまま置いておくことができるようになりました。
ただ……ただですね、機能的には出来上がりなんですけど、見た目がどうも気に入らない。やっぱり蓋が開きっぱなしっていうのはねえ。
難しい加工でもないし、蓋に切り欠きをつけてテフロンチューブを通せるようにしちゃいましょう。ドリルで基本となる丸穴をあけて、その穴の上下端から蓋の横端側に向けてまっすぐ小型のホビーのこでギコギコと切っていくことで、横からするっとチューブを通せる開口部を作ります。
切り取れたら、全体をならして平坦部はまっすぐな直線に、奥の曲線部は綺麗なカーブになるように、半円形の棒ヤスリを使って丁寧に仕上げます。
そんなに違和感のない穴ができたかな。
蓋を閉じて、防湿ケース内にフィラメントや乾燥剤、あと湿度計をセットしてできあがり。
やっぱり蓋がちゃんと閉じられてると、後付けの無理矢理感がかなり軽減できて良いですね!これなら見た目も綺麗なもんです、不満なし!
延長パイプに羽根をつけよう
満足のいく仕上がりにうはうはしながら、フィラメントスプールや乾燥剤等をすべてセットして本番運用を開始してしばらく。さらに細かいことが気になってきました。
現状だと、スプールをセットするフィラメントホルダーは、底から蓋をつなぐパイプに通すだけの仕組みです。当然物理的には、そのパイプを左右いずれにもスプールが動けてしまうことになります。
これだと、スプールが何かしらの力で蓋の方に寄っていってしまった場合、蓋に貼り付けてある湿度計と激突する可能性は0じゃない。そしたら回転が止まってフィラメントが引き出せなくなって印刷ミスを起こすことになるでしょう。
もちろんフィラメントが引き出される力の方向的に、スプールが蓋の側にずれていくことなんてまずないと思います。ただ、それでもプログラマ時代に染みついた性質なのか「可能性は0じゃない」のが気になります。
わかっている問題はつぶしておきたい。
そんなわけで、延長パイプの形状を変更することにしました。
パイプの途中に羽根をつけてしまえば、スプールがそれ以上蓋の方に寄ることは物理上不可能になります。
この羽根つき延長パイプも、前回と同じくThingiverseでダウンロードできるようにしてあります。
さっそく設計変更した延長パイプを出力して、中にセットしてみました。
これでスプールが自由に動ける範囲は固まるので、それより蓋の側は何を置いても問題のないスペースとなります。
とりあえず今は湿度計だけですけど、ちょっと箱状のものを貼り付けて、そこに乾燥剤をセットするのもいいかもしれません。
AliExpressでXiaomiのBluetooth湿度計を買ってみた
そしてさらにもう一点。防湿ケース内の湿度をもうちょっといけてる感じで管理したいと思ったので、AliExpressをあさって、XiaomiのBluetooth湿度計を買ってみました。
付けてあった湿度計を外して、新しく届いたこいつをぺたり。
一度蓋を開けたわけだから、貼り付け直後は湿度の数値が大きく跳ね上がっていましたが、蓋を閉めてしばらくすると、これの前に貼り付けてあった湿度計と同じ数値を示すようになりました。
じゃあ精度も大丈夫かな。
この湿度計はBluetooth接続に対応しているので、Xiaomiの管理ソフトをスマホにインストールすると、離れた場所にいながら現在の温度と湿度をスマホで確認することができるようになります。どうもXiaomiのスマートホームデバイス類のひとつみたいなので、ちゃんと調べてみればこの数値をトリガーにして何らかのアクションを起こさせるというのも可能なのかもしれません。
湿度の許容範囲を決めておいて、それを超えたらシリカゲルの交換時期だとスマホに通知が届いたりするとかっこいいですよねー。今はもう出来映えにお腹いっぱいでこれ以上いじる気力が残ってないから、しばらくこのまま使用して、いずれ気力がわいてきたら考えようかな。
出来映えに大満足
というわけで完成です!
防湿ケースとして綺麗におさまる品が出来上がってくれたし、湿度管理もスマホでやれるようになって機能バッチリ。かなり満足度の高い品が完成しました。
あとはまあ、3Dプリンタの周囲にまとまりなく置かれている小物や工具類をひとまとめに整理するボックスを、この防湿ケースの横にセットしてやれれば綺麗かなあと、さっそく購入したばかりのフィラメントをぐんぐん消費させています。
3Dプリンタは「作ってみたら細かく寸法誤差が重なってなんかイメージとちがう不細工な出来に」なんてことがなく、計算通りのものがバシッと出来上がるから本当に楽しいです。
500gスプールを使うときに蓋に穴が空いているのは問題ないのでしょうか?
書いていないだけでチューブ用の蓋もあるんですかね
この蓋、もともと取っ手の裏側に大きく開口部があったりして、特に密閉性を重視した作りではないんですよ。単なる見映え用というか。
なので、この程度の穴が問題になることはないと思います。
なるほど、密閉性を考慮すると最初から対策する必要があったんですね。
ありがとうございます。参考になります。