水彩対応の色紙を求めて4種類試してみた結果のまとめ

 ここ数年は、毎年12月になるとキタミ式イラストIT塾の情報処理試験シリーズを改訂して書店さんに挨拶まわりに伺うのが常となっています。

 その時、サイン色紙を描いて持参させていただくんですが、その着色に昨年からはコピックではなく水彩絵の具をメインで用いるようになりました。その方が、多様な色を使えるのはもちろん、何より広い範囲を一気にムラなく塗るのがやりやすいと判断したからです。

 ただ、もともとコピックでも和紙地の色紙はインクが吸い取られるばかりで塗料が伸びてくれません。そこで水性ペン対応などの「これ描きやすいかも」という色紙を選んで用いていた(なんとダイソー製が意外と良かった)んですが、水彩絵の具になればそのクセがより強く出てしまうはず。
 そんなわけで昨年末、流通している中から水彩対応をうたう色紙を4種類試してみました。
 なんで今更そんなことを書いているのかというと、その試した結果をFacebookにだーっと殴り書きしていただけで、情報としてはまとめていなかったのです。
 おそらく今年末の自分は、再度この情報を必要とするはず。それで、ちゃんと丁寧に「この紙が良かったよ」という情報を残しておくことにしたのでした。

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紙目から見た第一印象

 試したのはこちらの4枚。
 左から順に、『コピックペーパー色紙』『A画 色紙』『ワトソン色紙』『ホワイトアイビス水彩色紙』と並んでいます。

 紙の白色度は次の順。
 コピックペーパー色紙 > ホワイトアイビス水彩色紙 > A画 色紙 > ワトソン色紙
 特にコピックペーパーはツルツルの表面地ということもあってほぼ純白と言えます。ワトソン色紙はほぼ生成り。

 紙目の細かさは、次の写真の順番となります。

 コピックペーパー色紙 > A画 色紙 > ワトソン色紙 > ホワイトアイビス水彩色紙 という順ですね。

 前述のように、コピックペーパーはツルツルで見た目はコピー用紙のよう。A画はケント紙っぽい。ワトソン色紙はA画よりもほんの少しだけ粗く紙目が水彩寄りな感じの仕上がり。ホワイトアイビス水彩色紙はもろに水彩用紙です。でこぼこ。

 書店で飾っていただく色紙と考えると、ワトソン色紙は紙色的になし。ホワイトアイビス水彩色紙は凹凸が激しすぎる。コピックペーパーはその逆にツルツルすぎて味わいがない。バランスからいってA画が良さそう
 色紙の表面地を見比べた第一印象はそんな感じでした。

プロッキーによる線画の描き心地

 続いては実際に描いてみてどうか。まずは線画の描き心地チェックです。
 自分は「コピックに溶けない」「黒がはっきりと黒として出る」「紙に滲まない」「かすれない」という条件から、プロッキーの太字+細字コンビの細字側を愛用しています。

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 線画を描いた感触は次のようになりました。

用紙評価コメント
コピックペーパー色紙すいっと描けて線の伸びもすごくいい。
ただ、切り返しでひっかかる。
A画 色紙切り返しで少しだけひっかかりがある。
ワトソン色紙描きやすい。文句なし。
ホワイトアイビス水彩色紙描きやすい。文句なし。

 総じて、紙目の細かい用紙ほど、線の切り返しでひっかかる感じです。

コピックによる着色と塗り心地

 続いてはコピックによる着色作業。塗り心地のチェックです。先ほど描いた線画を十分に乾かした後、人物の顔部分を塗って様子を見ながら、サーバのキャラクタ絵(以降「サーバくん」)の方でもヒゲや蝶ネクタイ部分を塗ってみます。

用紙評価コメント
コピックペーパー色紙×びっくりするくらい塗り辛い。インクはすぐに染み込んでしまい、のばすことも難しいため、どうしてもムラだらけになる。
A画 色紙ホワイトアイビスよりもインクの染み込みが早く、その分塗りのばし辛い。ただ、乾燥は遅めなので、細かく折り返して塗り重ねることでムラは抑制できる。
塗り方に工夫が必要なので塗っていて楽しくはない。あと、染み込みが早いせいか色が濃く出過ぎてしまう感もあり。
ワトソン色紙×プロッキーが溶け出してしまう。
ホワイトアイビス水彩色紙一番ムラなく塗れる。インクの染み込み加減がちょうど良いので、塗っていて楽しい。

 コピックペーパー色紙の塗り辛さと、ワトソン色紙のプロッキーが溶け出してしまう特性は、ともに致命的です。この時点で、「コピックペーパー色紙」「ワトソン色紙」の2種類は落選となりました(下の写真は、人物の顔をコピック、サーバくんの服を水彩で塗った後のものです)。

水彩絵の具による着色と塗り心地

 続いては水彩絵の具。広い面積を塗る時は水彩で一気に塗る方が楽なんですよね。すでに候補としてはホワイトアイビス水彩色紙とA画 色紙の2種類に絞られていますが、一応ここでも全種類試してみます。

 主にサーバくんの服の部分を塗っていきます。

用紙評価コメント
A画 色紙×水彩だと駄目駄目。染み込み方が均一にならず、コントロールにかなり神経を使わないと駄目っぽい。
ホワイトアイビス水彩色紙すごく塗りやすい。のびも良く、水彩の滲みも出しやすくて違和感なく使える。とにかく楽しい。
コピックペーパー色紙×笑えるぐらい酷い。筆を置いた箇所に顔料が即座に染み込んでしまうため塗り広げようがない。ムラだらけになる。
ワトソン色紙可もなし不可もなし。水を多めにして塗った方が綺麗に塗料が広がるっぽい。

 ここでもホワイトアイビス水彩色紙が優秀です。水彩用紙として違和感がないため、とにかく塗っていて楽しい。あんまり楽しいから、用紙の隅っこに葉っぱを練習で描いて滲ませて遊んじゃうほど純粋に楽しめる。

 この試験の後の色紙2種類の様子は次の通り。A画はムラだらけ。ホワイトアイビス水彩色紙の方でムラのようになっている箇所は、わざと濃さを変えてみて色の出方を見たりしていたところです。

 ちょっと誤字っちゃってるところがありますが、そこは気にしないでください。

総評

 これらテストの結果、すべての項目で文句なしの評価だった「ホワイトアイビス水彩色紙」が採用となりました。不満点を挙げるなら、色紙っぽくない、いかにも水彩用紙然とした表面の凹凸ですが、実際の描き心地と仕上がりにここまで差が出てしまうと、選ばざるを得ません。

 色紙っぽさにこだわらなければ、この凹凸もこれはこれで味がありますしね。

 そんなわけで、この年から書店さんに持参する色紙には基本的に「ホワイトアイビス水彩色紙」を使うようにしています。今後も、気になる色紙が出てきたら、追って試験していきたいと思います。

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