水彩対応の色紙として、シリウス水彩画紙とホワイトアイビス水彩紙を比較してみる

 書店さん用に描くサイン色紙として、水彩で扱いやすいのはどれだろうと以前対応色紙を4種類試してみたことがあります。

 その後新しく『シリウス水彩画紙』というのを編集さんが見つけて送ってきてくれていまして、先日サイン色紙を描く際にせっかくなので試してみることにしました。
 比較対象は、前回No.1とした『ホワイトアイビス水彩紙』になります。

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プロッキーによる線画の描き心地チェック

 まずは線画の描き心地を見ていきましょう。下書きをさらさら~っと。

 前回の4種比較の時にも書いた通り、自分は線画には「コピックに溶けない」「黒がはっきりと黒として出る」「紙に滲まない」「かすれない」という条件から、プロッキーの太字+細字コンビの細字側を愛用しています。

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三菱鉛筆(Mitsubishi Pencil)
【特長】紙に書いても、にじみが少なく、裏うつりしない水性顔料インク/耐光性にも優れている/紙はもちろん、金属・ガラス・プラスチックなどにも書けいやな臭いがありません

 んじゃさらさら~っと。

 紙目が比較的つまっているおかげか、特に切り返しでひっかかるようなこともなく、なめらかで描きやすいです。

 ここが引っかかりやすいとガクガクガクとぶれたりカーブが描きづらかったりするんですけど、特にそうしたネガな印象はありません。

 左側がシリウス水彩画紙で、右側がホワイトアイビス水彩紙。紙目が大きく凸凹している分、ホワイトアイビスの方が若干引っかかりやすいです。印象としてはシリウス水彩画紙 ≧ ホワイトアイビス水彩紙。とはいえ、どちらも特に悪い印象ではありません。
 紙色はシリウスの方が少し生成り寄りで、ホワイトアイビスの方が真っ白。

コピックによる着色と塗り心地

 双方とも十分に乾かした後で、細かい箇所をコピックで着色してみました。

 まずはシリウス水彩画紙。にじみもなく、インクの染み込み方も適度にゆっくりで塗り広げやすいです。ムラになりません。

 ただ、うーん……ほんのかすかにですけどプロッキーのインクが溶けちゃってるかなあ。鉛筆による下書きの線でわかりづらいですけど、‼の右側を見るとわかりやすく引きずっているあとが見てとれます。

 続いてはホワイトアイビス水彩紙。同じくこちらも塗りやすい。なんせ前回のNo.1ですからね。

 同じようにプロッキーの上を塗り広げてみた箇所も、一切にじみがありません。やっぱりこれだとインクが溶け出してこないんだなあ。優秀です。

 とはいえ、ですよ。

 こちらがシリウス水彩画紙を角度を変えて見たところ。コピックのブロードニブ側でアンダーラインを引いたところも、実に綺麗に塗れているのがわかります。

 一方こちらはホワイトアイビス水彩紙。ブロードニブで引いたアンダーラインは縁がガタガタ。粗い紙目の影響をもろに受けてしまっています。

 多少溶け出すとはいえ、この程度であれば少し気をつけて黒インク部を避けるだけで解消できるにじみなので、この時点の印象としてはシリウス水彩画紙 > ホワイトアイビス水彩紙という評価になります。

水彩絵の具による着色と塗り心地

 色紙の下半分は、水彩絵の具で塗っていきます。ちなみに水彩画はまったく門外漢で、単に広い面積をえいやと塗る時はコピックよりもムラなく塗りやすいから使っているにすぎません。そこを割り引いて見ていただけますと幸いです。

 で、なんでわざわざそんな断りを入れて書くかというと、このシリウス水彩画紙、なんかどう絵の具をコントロールしたらいいのか良くわかんない。乾きは遅めのように感じるんですけど、その間に色を落としても、どうもうまくにじんでくれない。難しいです。

 その分ムラになったりはしないので、不慣れな僕みたいなのは背伸びしようと思わず「ベタ塗りこそ至高!」と割り切ってしまえばまったく問題ないんですけどね。

 次はホワイトアイビス水彩紙。こっちは安定の水彩紙ですね。うまく扱えてるとは言いづらいですけど、それでも違う色を落としたり影をつけたり頑張ってみようと思える程度にはわかりやすいです。

 この時点ではコピックまでの結果とあわせて「まあ慣れて扱いが上手くなれば良いだけでしょ」とシリウス水彩画紙びいきになっていたんですけど、絵の具が乾いて仕上がりを見ると評価が変わりました。

 こちらがシリウス水彩画紙の乾燥後。色紙にありがちな縦の紙目がくっきり浮かび上がってきています。にじませようと頑張っている時にスジっぽくなりやすかったのはこれかあ。

 ホワイトアイビス水彩紙で同じ箇所を見るとこんな感じ。

 水分をあまり使わないように塗ればここまで縦スジにはならないんでしょうけど、ここは自分の好み(縦スジ好きじゃない)もあってホワイトアイビス水彩紙 > シリウス水彩画紙となりました。

総評

 終わってみればまたもや「文句なしにホワイトアイビス水彩紙」という結果に自分の中ではなりました。途中まではNo.1の入れ替わりがあるか的な印象だったんですが、最後の水彩で完全に逆転した格好です。

 あらためて今回も振り返ってみれば、プロッキーの溶けにくさ、コピックの塗りやすさ、水彩絵の具の扱いやすさ、どれもバッチリで弱点がありません。あえて挙げるとすれば凸凹の紙目のみ。そこをどう捉えるかで、評価は変わるのかなと思います。

 ただ、今回のシリウス水彩画紙も前回比較対象にした他の3枚と比べれば、十分に優秀だと感じました。なので「凸凹嫌だなあ」という方がいたら、こちらの色紙がお勧めです。

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