M1に最適化されたAdobe Illustratorだと、iPad Proが普通に液タブ然として使えちゃって驚いた

 つい先日、6月22日に、Apple Silicon M1チップをネイティブサポートした、Illustratorの最新版がダウンロードできるようになりました。

 M1 MacBook Air購入者としては待ちに待ったアップデートなので、さっそくうちの環境にも入れてみて、手持ちのiPad Pro 12.9 (2020モデル)でどこまで作業ができるか試してみることにしました。
 ……って書いてて気づいたんですけど、そういえばブログにMacBook Air買ったこと書いてなかったかも。Windowsのノートパソコンは省電力に振りすぎてて、どうも「性能を発揮して欲しい場面」と「バッテリーもちを重視して欲しい場面」がシームレスに切り替えできてくれないので嫌気がさして、M1 MacBook Airの発売直後に乗り換えちゃったのです。

 で、せっかくMacBook持ちになったわけだから、ちょっと出先で作業する時とか、旅先に「一応念のために」と作業環境を持って行く時は、「パソコン本体と液タブ」じゃなくて、「MacBook AirとiPad Pro」だけで済んでくれるとすっきりしていいなーと、Sidecarをちょいちょい試したりしてるんですね。

 そんなわけで今回のIllustratorのアップデートは、自分的には無視できないイベントだったのです。

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操作の確実性が段違いに良くなってて、普通に作業できるようになってた……

 Sidecarというのは、iPadがMacのサブ画面として使えるようになる機能で、今のMacでは標準として組み込まれているものです。これをiPad Pro & Apple Pencil環境で行った場合、そのまま液タブのように使うことができてまあ便利ですよというのが一番魅力的なところ。

 ただ、以前のAdobe Illustratorだと、M1チップへのネイティブ化がなされてないこともあって、「やれはするけど今ひとつのレスポンス」という案配で、特にタッチ操作を絡めたあたりのレスポンスは使えたものじゃありませんでした。

 それが今回のアップデートでどうなったかというと……ひねりも何もない動画で申し訳ないんですけど、とりあえず作業の様子を撮ってみたので見ていただけますでしょうか。

 え、普通なんだけど。普通にやれちゃうんだけど。というレスポンスで超驚き。
 自分自身がMacに慣れてないのと、Mac環境に入れたIllustratorの環境設定をまだやってない中だったので色々手間取ってる点はありますが、そこを除くと普通に動いてます。

 ちなみにこれ、前述のように設定を詰めないまま作業しちゃってるもんだから、描画が微妙に重くなる「リアルタイムの描画と編集」がデフォルトのON状態のまま(自分は普段必ずOFFにする設定)。なので、本来であれば、これよりさらにレスポンスは速いです。
 あと前回試した時、無線接続よりUSBCの有線接続にした方が断然速くなったので、そっちの方でも速くなるはず。

 つまり一番遅くなる状態で試してこれなんですよね。いやすごい。

唯一の弱点は、ホバーカーソルが出ないこと

 モバイルで作業できる環境としては、2in1型のノートパソコンをはじめとして、様々な機材を試してきましたけど、Illustratorをこれだけクセなく素直に扱える環境は珍しいです。短いストロークは拾ってくれなかったり、描画オブジェクトの選択・移動縮小などの操作が妙に遅く使いづらかったりと、何かしらのトラブルを抱えがちで、たいてい「Cintiq系のWacomデバイス以外では正直作業したくない」という結論に至るのが常でした。

 そういう意味では、Cintiq系のWacomデバイスの次くらいにいいんじゃないでしょうか(Wacomのfeel it系はメーカー差が激しいので、Samsungチューニングのデバイスならそっちが上だろうけど、他の国産系だと勝てない気がする)。少なくともAES系のWindowsタブレット製品よりかは断然良いです。

 一方で、そうなると残念なのが「ホバーカーソルが表示されない」こと。
 落書きする分にはなくても問題ないですが、やっぱり入稿用のちゃんとした仕事だと細かいとこまで調整して納めるから、パスのハンドル操作も多用するし、レイアウトの調整もちまちま詰めていくことになります。
 その時に、ホバーカーソルが出ないというのはかなり致命的……。まあ、そこだけマウスでやれば済むのかもしれないですけど。

 Macのサブ画面としてiPad Proが動作してる時くらいは、なんとかホバーカーソルを表示できるようにならないかなあApple Pencil。

Apple Pencilのペン先は標準に戻しました

 そういえば4月にApple Pencilのペン先をねばりのある感触に変える交換チップのレビューを書いたんですけど……

 これ、純正のペン先に戻しちゃいました。

 メモ書きとかだと使いやすかったんですけど、今回Illustratorを真面目に使おうとする場面では、そのレビューにも書いた「ペン先の柔らかさが影響して、筆圧の出方が一様ではなくなる」のが致命的でした。これを付けてると、Illustrator上で思うように筆圧がコントロールできません。もう全然ダメ。

 まあ戻したら戻したで当然ツルツル滑るようになるから、ゆっくりめのストロークが安定しなかったりするんですけど……。またなんか考えないとなあ。

  1. デコピン より:

    動画で右手に付けている手袋が気になりました。絵を描くプロの方々には常識的なものなのでしょうか。
    手紙を万年筆で縦書きすると、手汗で先に書いた文字が滲んじゃうのですが(手を浮かせれば解消するのですが、それが出来ないので。)これを使えば防げるかな。

  2. すずめ より:

    初めまして!コメント失礼します。
    きたみさまの動画を拝見する限り、筆圧を感知しているようですがこちらの設定方法を教えていただけますでしょうか。

    • きたみりゅうじ きたみりゅうじ より:

      どの箇所の設定で行き詰まってるのかがわからないですが、筆圧で太さが変化するように設定したブラシを使ってブラシ機能で描画すれば、それで感知しますよ。Sidecar側の設定は特に気にしなくて大丈夫です😊

      • すずめ より:

        ご返信ありがとうございます!
        ブラシの設定で筆圧設定がグレーアウトしてしまっているので、筆圧が変更できませんでした…。
        何年か前のiPadだからかもしれませんね><
        いろいろ試してみます😊

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