適格請求書(インボイス)発行事業者の登録申請を行ったので、どんな手順だったかをご紹介

 確定申告作業で燃え尽きていたのもあって、当初予定されていた3月31日の申請期限には間に合いませんでしたが、遅まきながら適格請求書発行事業者の登録申請を行いました。いわゆるインボイス制度のあれです。

 インボイス制度については、あまりに認知されていない気配なのが不思議になって、4年近く前に「消費税の税率アップよりもよほど怖いよー」という話を書いたことがあります。

 案の定知らない人が多かったようで、この記事はかなりバズってそれなりに話題になりました。

 この時も今も、インボイス制度については、あわよくば中止になってくれたらいいのにな……と思っていましたけど、残念ながらそうはいかなかったですね。取引先からも登録状況についてのお伺いがはじまり出した今日この頃なので、さっくり申請を済ませて、後の手続きがスムーズに進むよう準備しておくことにしました。

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手続きはe-Taxで質問に答えていくだけ

 今どきはe-Taxで済むようにしてくれているだろうと思ってログインしたら、案の定メニューが用意されていました。さっそく手続きを開始してみると、まず最初に次の警告が表示されます。

 消費税の課税事業者じゃない人がこの登録申請をすると、登録日以降は課税事業者になっちゃうからねと念押ししてくれてるわけですね。親切です。

 手続きは特に難しいこともなく、名前や住所もe-Tax情報から持ってきて自動で入れてくれているので、中身を確認して、ふりがなとかの空欄部分だけ自分で埋めて、次へ次へとボタンを押していくだけ。

 その手が止まったのは、次のフォームでした。

 本来は3月31日までに申請しなきゃいけなかったんだけど、なんでアナタはそれを怠ったのかって聞いているわけですね。そんなん「3月31日までじゃなくてもいいよ」って延期が決まったからなだけなんですけど、どうしよっかな。

 ちょっと悩みながら青いヘルプボタンを押してみたら、次の画面が表示されました。

 親切ですね。波風立たない記載例が示されています。まるでヤフオクの評価欄のようです。

 じゃあこれでいいやと記載例をそのままコピペして……

 また次へと進めていったら……

 申請書の作成完了です。

 ひと頃、インボイス制度の登録をしたら「ペンネーム、住所、屋号」などが全て本名とセットで公開されてしまうという言説が流れて、それが本当だったら困ると思ったことがありましたが、少なくともこの画面を見る限り、「申請書とは別に追加で公表申出書を作成して提出しない限り、それらが公開されることはない」様子です。

 帳票作成が終わって、「作成」ボタンがグレーに変わりました。

 次の画面に進んだら作成した登録申請書をPDFでダウンロードできるようになっているので、一応念のために「帳票表示」ボタンを押して、ダウンロードと印刷を済ませておきます。

 次に進んだら送信画面。

 ここで「送信」を押したら登録申請手続きは完了です。

 時間にして10分くらいでしょうか。簡単な作業でした。

アジテーションには気をつけた方がいいと思う

 上で書いた「住所やペンネームが公開される」もそうなんですけど、インボイス制度については「嘘、大げさ、まぎらわしい」話が多数流れているのを目にします。
 少しでも話を大きくして耳目を集めることが反対活動には有効だと思ってのことかもしれないですが、仕事に関わる話なだけに、フリーランスの僕らみたいな立場でうっかりそうした嘘に乗せられてしまうと、取引先から「この人は自分で調べないんだなー」なんて思われちゃう可能性も無視できません。

 たとえば「インボイスで収入の10%が持っていかれるー!」なんてことはないですし(簡易課税で5%納付が一番多いと思う)、「確定申告と同じだけの手間が消費税の申告でも発生する!個人には無理ー!」なんてこともありません(e-Taxでやれば自動計算で終わるから5~10分くらいの作業)。ましてや公開されている登録情報をプログラムで拾ってきてリスト化しただけで「こんな簡単に個人情報が漏洩するシステムなんてあり得ないー!」は難癖もいいとこです。

 そうした「嘘、大げさ、まぎらわしい」に同調する姿を、クライアントさんの目にもふれるSNS上でさらすというのは、あんまり良くないんじゃないかなーと思うんですね。下手すると、フリーランスにとって何より大事な信用を毀損することにつながりかねません。

 なので反対するなら自分の言葉で。まだ制度の開始までには時間がありますから、SNSに流布されるアジテーションとは距離を置きながら、ちゃんとインボイス制度について勉強して、その上で自分の仕事に必要な手続きか否か、じっくり検討するのが良いのではないでしょうか。

  1. 虹の父 より:

    適格請求書(インボイス)発行事業者の登録申請の実演、非常~に助かります。
    やんなきゃと思いつつ年度末、年度初めのドタバタに流されてたのと、「きっと超めんどくさいんだろうなぁ」と二の足を踏んでいたところでした。
    というわけでカンタン入力で終了するとわかってホッとしました。
    6月には申請しようと思います。(オイ)

    • きたみりゅうじ きたみりゅうじ より:

      意外と簡単でした(笑)
      でも、何にも自分にメリットない作業だから、心理的におっくうですよねー(^-^;

  2. 通りすがりのSE より:

    今は公表有無を選択できるようですが、元々は適格請求書発行事業者として登録すると、個人だろうが法人だろうが氏名や所在地が公表されてたかと思います。
    それに加えて、システムのマスタとして取り込めるように事業者情報が全件DL可能な状態になっていたのが問題だったのかなと。

    ペンネームについては名字や下の名前が知られてたりすると、↑の一覧からある程度目星が付きますし、Twitter等で発信した情報から住所、氏名が特定できてしまう可能性がある。ということですね。

    正直対応がクソめんどくさかったので早々に中止して欲しかった案件の一つですね・・・。もっと言ってしまうと一連の消費税対応が大変だったので軽減税率なんてなくなってしまえばいいのにと思ってますがw

    • きたみりゅうじ きたみりゅうじ より:

      元はそうだったんですね。なるほど、色々もめた分は一応改善につなげてると…そのままもめて延期延期で有名無実化してしまえばいいのに(笑)

      軽減税率まわりの対応めんどくさそうですね!
      ほんと、すべての元凶はあいつだと思うので、同じくなくなって欲しいです軽減税率。インボイスも。電子帳簿も(;´Д`)

  3. デコピン より:

    会社を辞める前、請求書の書き方が二転三転したことが有りますが、このインボイス制度の為の他に社会保険料の取り扱いの為も有りました。
    これまで諸経費一式で計上されていたものを、社会保険料だけを抜き出して表記するため、材料費と人件費は別集計となり、面倒くさい請求書・見積書になってしまいました。

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