『ホグワーツ・レガシー』は、作り込まれた映像美と舞台装置が圧巻の、ロールプレイ(役割を演じる)ゲームでした

 Geforce RTX 4090グラフィックボードを購入した際に、その性能を実感したくて『ホグワーツ・レガシー」というゲームを買いました。

 その顛末はこちらの記事でも以前さらりとふれています。
 それからだいたい80時間弱くらいプレイして無事エンディングにたどり着いたので、簡単に感想をまとめておきたいと思います。

 いやはや、すごいゲームでした。

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とにかくグラフィックの作り込みがすごい

 ゲームをやりはじめた当初は、ちょっとふざけたキャラメイクをしてケタケタ笑いながらプレイしていたんですが、やればやるほど「この主人公がアップになるたびに世界観とあってなくてイラッとくるぞ」となり、ある程度ストーリーが進み始めたところで一度観念して最初から作り直すはめになりました。

ちゃんと主人公感を醸し出す顔で作り直したキャラクター

 なにがすごいってこのゲームに出てくる人物たち、会話にあわせて頬や目やまぶたや口が自然な動きをするのは当然として、まず口の中の舌までちゃんと動くことに驚くし、よくよくプレイしていて違和感がないことに気づいて「これ吹き替えにあわせて口の動き変えてるんだ」とさらに驚きます。
 その作り込みをふざけたキャラで消費するなんて、もったいないお化けが出るぞってなもんです。

 ホグワーツ城の中では、なかなか全容が把握できないほどの広さにも関わらず一部の隙も無く作り込んである城の造形に驚くし、城内を闊歩する幽霊たちや、動く絵、しゃべる像と、あらゆる場所に「魔法が実在する世界なんだ」と思わせる仕掛けが満載で、ますますこの世界を魅力的にしています。

 そしてはじめての外のお使いに出た時に目にする景色の美しさ。

 もうね、ホグワーツ城からほど近い町へ向かうだけなんですけど、なかなか着かないんですよ。あまりに景色が綺麗だから一気に走り抜けるのがもったいなくて、周囲をきょろきょろ見回しながら、ゆっくり歩いちゃう。

 本当に自分がその世界に入り込んでしまったかのように、行く先々で目を奪われる。そんな空気感に満ちたゲームなのです。

さらには演出がまたとんでもない

 どんなに美しいグラフィックも、ずっとプレイを続けていればやがて慣れてくるものです。
 ところがこのゲーム、過去を振り返るシーンとか、異世界に入り込むシーンとか、場面場面で映像の演出を変えるものだから、「もう慣れた」というつもりでいたら(良い意味で)面食らったりすることが珍しくありません。

 中でももっとも感嘆したのがこちらの演出。

この絵がリアルタイムに動きまくるんだけど、どのシーンを切り取っても絵画として綺麗だからすごい

 ある人の記憶の中の世界なんですけど、突然モノクロの絵画調になったこの世界の中で、この後はひたすら死神たちと対峙することになります。
 もうこの演出でゲーム一本作ってもらいたいくらい。終始この映像演出のままこの世界の物語は進み、美しくも不気味な空気感がたまりませんでした。

唯一の欠点は……

 作り込みと、そのボリュームには文句なしの「めっちゃ金かかってるな……」と感嘆するしかないこのゲーム。唯一の欠点は、「ゲームとしてはつまらないこと」かもしれません。

 なんというか、カタルシスがないんですよね。
 倒せなかった敵を倒せるようになった喜びとか、超絶すごい装備を手に入れてヒャッハーと雄叫びを上げちゃうような喜びとか、ものすごく冒険が便利になるアイテムを手に入れて物語が急速に進む実感を得た時の興奮とか、そういうのがない。

 装備はどれも「地味に強くなっていく」ものばかりで、たとえば「序盤でこちらの攻撃がまったく通用しなくて逃げるしかなかった敵を打ち倒せるようになる武器」とか「序盤で即死させられる痛い攻撃の敵がいて怖かったけど、即死攻撃を無効化できることで怖さを克服できるローブ」みたいなのはありません。地味に攻撃力と防御力の数値が積み重なっていくだけ(正確にはそれだけではないけど)。

 だから操作にも慣れて、ある程度強くなってしまえば、もう宝箱に魅力を感じなくなってしまっていました。だって別にそこから底上げしなくても余裕で敵を殲滅できちゃうし。

 移動を楽にしてくれる乗り物も、定番のホウキの他、様々な魔法動物に乗って世界を旅することができるようになっているんですが、序盤に手に入るホウキが一番便利で楽なんです。正直ゲームアイテムとしてみれば、他の乗り物いらんよね……となっちゃう。実際そうなって使いませんでした。

 このへんの仕様って、多分「ゲームとしての演出」ではなくて、ハリーポッターの世界を堪能してもらうために揃えた「舞台装置」としての役割なんだろうなと思います。だからあの世界が大好きで、そこの住人になったらこんな冒険をしてみたい、こんな暮らし方をしてみたい、そう思える人に「どれを選んでもいいよ」と用意してくれているものなんでしょう。

 つまりこのゲームは、ハリーポッターの世界に惚れて、その中でロールプレイを楽しみたい人向けの、とんでもなく良くできた舞台装置なんじゃないでしょうか。

 実は僕は、ハリーポッターの映画は1作目くらいしかまともに見たことがありません。それでいて、「ゲームとしてはつまらない」と言いながら、このゲームを買ったこと&プレイしたことについてまるで後悔がないというか、「すごいゲームだった」という言葉しかないんですよね。
 じゃあ、あの世界に慣れ親しんで、憧れを抱いてプレイしてみたらどうなるんだろう。

 ひとまずエンディングを迎えた今、あらためてハリーポッターの原作もしくは映画をすべて見た上で、再度プレイしてみたいなという気持ちが芽生え始めています。
 そう思わせるだけでも、やはりこいつはすごいゲームだったなと感心するのでした。

  1. 矢沢Heart より:

    PC版ではないのですが、PS5版を私もプレイしました。PC版にないサイドストーリーやクエストがあったので、そちらをチョイスした感じですが、高輝度プレイをしてみる必見のタイトルですね。やりこみ要素全部をやりこむと100時間以上かかっていますが、あっさりプレイでも80時間なのでなかなかの作品だと思いました。

    • きたみりゅうじ きたみりゅうじ より:

      PS5版って、そんなとこにちがいがあるんですか。それはいいですね~。
      僕もあっさり目だったと思いますが、さっき見たら78時間やってました。映画を見た後にまたやると思うので、100時間超えちゃいそうです(^-^;

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