ThinkPad X1 Yoga (2019) のキーボードインプレッション

 僕がThinkPadを選ぶ理由は昔も今もキーボードとトラックポイント。ただ、筐体の薄型化とコストダウンによって買う度に品質の劣化が見てとれていたのがお約束だったもので、久しぶりに買うThinkPadのキーボードはどうなっているのかは、非常に気になるところです。

 結論を先に書いておくと、「意外と良かった!」「でも劣化はやっぱりしてますね」というという感じです。比較対象には、以前使用していたThinkPad X61 Tablet(以降X61T)と、ThinkPad Bluetooth ワイヤレス・トラックポイント・キーボード(以降BTキーボード)を用いています。
 ちなみにBTキーボードについては、昔のブログに感想を書いていたので、どんなキーボードか気になった方はそちらを見ていただけると幸いです。

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Fnキーまわりのカスタマイズ性と剛性感が素晴らしいキーボード

 まずキーボードの全体像がこちら。

 薄型化を追求し始めたあたりのThinkPad X300あたりをさわった時、「妙にクリック感だけを強調してストロークの短さをごまかしたことで、クリックの山を越えると同時に加速して底突きしやすくなったキーボード」という印象を持った記憶があり、そのへんどうかなあと不安を持っていました。幸いそれは杞憂に終わり、あの不自然なまでのクリック感の強調はなくなっています。カクンという感触ではなく、スッ…トンという感じ。押しはじめが柔らかく入れるので、指が疲れなくていいです。

 古くからのThinkPadユーザーには、キーボードの生産地にこだわる人も多く、自分の元に届いた品(パーツ部分)がChicony製かNMB製かというのはかなり重要チェックポイントでした。自分もその一人で、英語配列へ付け替える時に必ずNMB製を指定して付け替えていました。
 これは、主にキートップのガタつきによるものです。NMB製の方がキーの据え付けがぐらぐらせず、ストンと真っ直ぐ押せて気持ち良かったんですね。

 今回のX1 Yogaのキーボードは、あのNMB製の感触に似ています。おそらくは筐体がアルミ製になった関係だと思うんですけど、剛性感がすごくてキートップのぐらつきがほぼありません。
 僕は原稿を書いていて興が乗ると、タイプ速度が上がって運指が雑になってきます。自然と指もキートップの真上からでなく、多少斜めからスパッと叩きに行くことが増える。
 この時「いいな」と思うキーボードだとぐらつくことがなく、斜めから入ってきた力をしっかり受け止めて、まっすぐキーを押し込む力へと変えてくれます。X1 Yogaもまさにこれ。キートップの据え付けが悪いやつだと、どうにもがたついて変な方向へ力が進んでしまいミスタイプにつながるんですが、そういった気配は欠片もありません。

 標準的な配列と、余裕のある縦横のキーピッチ、輝度調整可能なバックライト。そうした基本部分に加えて、FnLock、CapsLock、スピーカーミュート、マイクミュートといった各キーにはすべてインジケーターランプが備わっているのもいいところ。キーボードに視線を落とすだけで、即座にそのあたりの状態を把握できるのは助かります。

 また、左下隅にあるFnキーについては、「ファンクションキーを優先にするかマルチメディアキーを優先にするか切り替え可能」「FnキーとCtrlキーを入れ換え可能」という設定が可能であるため、特に自分のような「Adobe製ソフト使う時に左下Ctrlキーの上が左手小指を置くホームポジションだからそこが違うと泣く」とか「Adobe製ソフト使う時にファンクションキーをけっこう使うから、それがFnキーとのコンビネーションにされてると泣く」みたいな人にもまったく問題なく対応できる至れり尽くせりな素敵仕様になっています。

キートップ形状はほぼフラットに

 ここからはちょっと辛口寄りになる残念ポイントに言及していきます。

 よく考えられてる、よく出来てるとウキウキして使っていたキーボードですが、指触りという点では少し違和感が残ります。というのも、キートップの形状が筐体薄型化のためかほぼフラットになっているのです。

 まずこちらがX1 Yogaのキートップ。キートップ上面の形状が真四角ではなく、下辺が扇形に湾曲した形状であるため、すこし凹んだキートップのように見えますが、実際にはほぼ凹みはありません。指の感触だけで言えばフラットです。

 ちなみにX61Tだとこんな感じ。しっかりと凹みがつけられており、指が自然とキートップ中央へ誘導されるようになっています。

 より後期のモデルからパーツ流用したBTキーボードだとこんな感じに。一見するとX1 Yogaと大差ないように見えるんですけど、さわってみるとまだ若干凹みを感じ取ることができます。

 先に述べたように、多少斜めから指を叩き込んだところでミスタイプにはならないので、実害としてはないに等しいのですが、やはりキーに指を乗せた時に、その感触だけでキートップのどの位置に自分の指が乗っかっているかを把握できる気持ち良さというのは間違いなくあって、その部分に欠けるX1 Yogaのキーボードには若干の残念さが否めません。

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トラックポイントもフラット化

 筐体薄型化の影響を受けているのはキートップ形状のみにとどまりません。トラックポイントの、特にボタンまわりがぱっと見でわかるレベルにフラット化されています。

 スペースキーあたりに置いた親指をすっと下に降ろしてもひっかかる部分がないので、そのまま通り過ぎてトラックパッドの方をさわってしまうことも多々。センターボタンも、明確にわかる境目が感じ取りづらくなっているので、すっと指を伸ばして使うのはなかなか難しい。
 ストレスなく使うためには、ホームポジションとして、親指をセンターボタンの上あたりに置いておく必要があるような感じです。見た目はすっきりしてしゃれてるんですけどね。

 これがかつてはどうだったかというと、X61Tだとこんな感じ。

 見た目に色気が欠片もないチープさなので、これも当時は随分ディスられていたように思えますが、操作感で言えば一切問題ないです。上から指を降ろせば左右ボタンにたどり着いて、下から指を寄せればセンターボタンに自然とおさまります。

 BTキーボードだとこんな形。

 このへんが、見た目と利便性のバランスが取れてる感じがありますね。

 ちなみにX1 Yogaではトラックポイントの赤ポッチ部分もフラット化にあわせて超低背使用になっています。そのため、従来は3種類から選べたキャップの選択肢もなくなり、背が低い分動かすのも妙に固くなってしまっていて、操作性はハッキリと悪化しています。
 それでもノートPCのポインティングデバイスとしてはやっぱり断トツの操作性。唯一無二の存在感は健在です。

フラット化の必要性を実感するか否かで評価の分かれるところはあると思う

 上であげたキーボードやトラックポイントの残念ポイントですが、実は僕個人としては残念ポイントとは思っていません。
 というのも、キーボードをディスプレイ背面側に折り畳んで使うタブレットスタイルを多用するのが見えているからです。この時にキーボード面は床面となるわけですから、ここにゴツゴツした起伏があると、どこかへ引っかけてポロッとパーツがもげかねないのは容易に想像できることです。

 そう考えると、薄型化を進めてタブレットスタイルも快適に使える筐体をギミックを廃した形で作ろうとすると、自然とこの形に着地するのだろうなあと納得できちゃうわけですが、一方でそうしたタブレットスタイルに対する重要度が低い人だと、この薄型化はいただけないとなってもおかしくありません。

 そういう意味では、これの兄弟機であるThinkPad X1 Carbonの方は今モデルから共通化されてますからキーボードの作りなんかもほぼ同じはずで、でもあっちにタブレットスタイルはないからただ改悪されだだけにしか感じられないんじゃないかなあ(しかもアルミ筐体でもないから剛性感も劣ってそう)とも思ったりするのでした。

 個人的には、自分の使いたい用途ではうまくバランスの取られたキーボードになっていて気に入ってます。

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