Wacom プロペン2用木製グリップの試作を試す機会をちょうだいしました

 ペンタブレットといえばワコム。ほぼデファクトスタンダートといっていいくらいにメジャーな製品、そういっていいと思います。ところがそうしたメジャー製品でありながら、もうずっと、ずーっとずーっと、何十年も前からずっと言われている問題がひとつ。

 ペンのグリップがすぐ劣化してぬるぬるしてくるんですよこいつ。

 そのため、もう10年以上前から、どうにかこのグリップを排除できないかと、色々試してきました。

 そうした中で、ついにひとつの解としてたどり着いたのが木製グリップです。

 見た目もいいし、木の質感が気持ちいい。割れない限りは手に馴染む一方だろうから、定期的な交換に迫られるようなこともない。なんか高級な雰囲気も漂って映える感じが実に素晴らしい。
 ただ、この木製グリップにもいくつか弱点があって、そのうちのひとつが「おじさんのカサカサに乾いた手だとすべすべ木肌は気持ちいいんだけど滑りやすくて手に力を入れる必要があり疲れやすいのです」というものでした。特に冬場なんかこれが顕著にあらわれます。

 …とそんなおり、同じく木製グリップを作成販売されている他のクリエイターさんが「実際に絵を仕事にしている方の意見を聞きたい」とTwitterで表明されていたのをいいことに、上記の現象を伝えて「滑り止めにニス塗り加工版とかローレット加工された版とかあるといいなー」なんて希望を伝えてみたところ、この試作品が!なんと!送っていただけたと!いうことなのです!
 ちなみに送り主はこちらの葉車堂さん。

 Twitterでは、製作風景なんかもツイートされていて、非常に興味深いです。

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試作品タイプAはニス塗り版

 到着した試作品は3タイプ。うちタイプAは、通常品に対して木の質感を失わないレベルでニス塗りを施したものになります。

 見た目はニス塗りされた感じはあまりないのですが、さわると木肌独特のすべすべする感じではなく、固いツヤ感のある感触。手に貼り付く感じがあるので、手の中で多少遊ばせても滑り落ちることがありません。当然描いている最中も、自分の筆圧がそのままダイレクトに描く方へ向けられるので、滑り落ちるペンを支えようと強く握る必要もなくて楽に描けます。

 というか、ゴムのグリップとちがって凹まない分、力が逃げなくて楽です。木製グリップといえば、凹まないことからペン軸を太く感じがちなキライがあったんですけど、力を入れなくて済むおかげなのかすぐ慣れました。これはいいかも。

 ちなみに自分は、ペンをこんな感じで持っています。

 これだと、ちょっと指をひねるだけでボタン操作ができるから楽なんですよね。

 こうやってひねる時にも、人差し指側面にニスの平滑面がひっかかってくれて、するんと落ちていかないんですよ。そのへんも使っていて抱く快適さにつながっているっぽいです。

 欲を言うなら、ニスがもうちょっと厚みのある柔らかい感触の塗膜だと嬉しいかなあというあたり。その旨を伝えたら、今度は絵筆なんかに使われてるニスでも試してみるということで、それもまた楽しみです。

試作品タイプBはゴムグリップ版

 試作品タイプBは、通常製品にゴムの輪っかを足すもののようで、実販売の際はこの輪っかだけがオプション品扱いで入手可能になるようです。

 初見だと、「これ使いやすいのかな?」となんとも不思議な感じ。

 実際に持ってみても、なんかしっくりきません。どっちかというと邪魔……かも。

 あれ?ひょっとして……と、ペンの持ち方を変えてみました。最近の若い子って、こういう親指を突き出す持ち方をよくしますよね。

 これだと、人差し指先の腹側と親指の付け根、中指の背中側端がうまい具合に輪っかにのっかって、滑り止めとして作用するじゃないですか。人差し指の腹側が接触しているので、微妙な力の入り抜きもやりやすそう。なるほどなあ。

試作品タイプCは通常の視点とは逆の形状版

 さらに面白いなと思ったのが試作品タイプC。普通ペン軸に太さを持たせる場合って、ペン先から持ち手部分にかけて太くなってると思うんですけど、こいつは逆。それよりお尻の部分が太くなっています。

 重量バランスを変化させる作りなのかな……と持ってみるも、どうもしっくりきません。そこで「あ、そうか」と気づきました。これもタイプBと同じく、親指を突き出す持ち方を想定してるんだ。

 この持ち方に変えてみると、ちょうど木のふくらみが指の作る股部分にフィットして、なんともおさまりがいいです。これは楽だわ。

個人製作だからこそ拾い上げられる需要への応え方が面白い

 すべて試し終えて葉車堂さんに報告したところ、やはり後者の2点は、上のような持ち方を想定した作りという話でした。なんでも、最近の絵描きさんをリサーチすると、ペンタブ使いにはあの持ち方が多いという傾向が見られるのだとか。

 なるほどなあ。

 そういった視点で作られたグリップは寡聞にして存じません。しかし確実にあの持ち方の人が増えてる以上、そこに需要は絶対あるはず。そう考えると、これがどのように受け止められるのか興味深いものがあります。

 今後も試作を重ねていくという話なので、個人製作ならではの「ユーザーと近い目線」で作られた製品がどのように着地するのか、今後が非常に楽しみです。

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